When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

For the King #1

GW ってのはいいですね。 普段は活動時間が違ふからあまり遊べない友だちとバンバン遊べる。

といふわけで、友人と For the King を遊び始めた。 このゲーム、けっこう前から面白さうだと思ってゐて、 3 人でマルチできるといふことだったので、 3 人集めてやりてえなあと思ひ、 セールがあるたびに友人に投げつけまくってゐたのだ。 おれ一人で 5 本ぐらゐ買ってゐると思ふ。

でも、ちーっとも遊んでもらへてなかったわけ。 みんなシングルゲーばっかやってんだよなあ。 だからって「買ってやったんだからおまへの時間を寄越せ」 とは云ひにくいぢゃないですか。 誰しも、その時々で遊びたいゲームってのはあるからね。

と、さうやって遊んでほしいなーと思ひつつもできずにゐる日々を送ってゐるうちに、 無料 DLC 的なのはガンガン追加されるし、 つひに日本語にも對應してしまふしで (まだいい加減な部分はある、スケルトンがスケレトンになってたりとか)、 さすがにそろそろ遊んでくれよ!と思ってたら、 やうやく附き合ひのいい友人が一人、相手してくれるやうになったのだ。

といふのが、GW ちょっと前の話。 ちなみに、そのときは友人が早々に寢てしまって中斷したのだが、 その後その友人は一人でちょこちょこやってくれてて、 GW に入ったからってんでまた遊び始めたんだが、 基本的なことはその友人から教はった。

やっぱり面白いぢゃねーか!

どういふゲームなんだ、って?  それは、制作側の人がインタヴューでうまくまとめてゐたので引用しておかう。

本作は部分的にローグライク、ボードゲーム、JRPG、そして戦略 RPG です。 様々な異なるシステムが登場するように聞こえるかもしれませんが、これらがうまくフィットし、 ユニークで新鮮な体験を提供します。 これらのジャンルの中心となるシステムは、過去 40 年間以上共存し合い、お互いに影響しあってきました。 ですので、それらが上手く混ざり合うのもおかしな話ではありません。それに何より、楽しいですよ。 『For The King』では、これらのシステムがハーモニーを作り出しているのです。

本作の元となったボードゲーム版は、PC ゲームの『ウルティマ』シリーズから影響を受けています (『ウルティマ』はテーブルトップ RPG の影響を受けていますが)。 つまり、『For The King』はテーブルトップゲームに影響を受けたコンピュータゲームに影響を受けたボードゲームに影響を受けたビデオゲームなのです。 :)

gamespark のインタヴュー記事より

TRPG およびボードゲームからの影響があると語られてゐる通り、 このゲームでは何を決めるにしてもサイコロサイコロサイコロだ (實際にサイコロを振るわけではないが、イメージは完全にサイコロ)。 移動はもちろん、マップ上で起こるランダムイベントや戰鬪の結果もサイコロを振って決める。

とはいへ、もちろん完全に運任せなわけではない。 力が必要なイベントは力の強いキャラが非常に有利な判定になる、 といったやうにデザインされてゐるので、 3 人パーティーで誰がどのステを伸ばすか、 といふことはとても大事になる。

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例へば、上の畫像はマップ上にあった「血の儀式」といふイベントだが、 ハートマークが 4 つ竝んでゐるのがわかると思ふ。 これは「活力」を表すマークだから、 活力が高いプレイヤーほど成功率が上がる。 實際、ハイライトされてゐるプレイヤー 1 といふ適當な名前のキャラは、 活力が 95 もあるので(キャラ枠の下にずらずら竝んでゐるのがステ)、 81% もの確率で次のレベルに上がるといふボーナスが得られるといふわけだ (經驗値でいへば現在 1100 で次のレベルに必要なのは 1600 だから、 500 ももらへてしまふ――もちろん成功した)。

また、ローグライクの影響はアイテムドロップに大きく作用してゐる。 いいアイテムが引ければある程度は無雙できるし、 逆に外れアイテムばかりだと苦戦どころかジリ貧なのが目に見えてしまひ、 やる氣をガシガシ削られていく (それでもいいアイテムを引けば一發逆轉があるからやめられないのだが)。

システム自體はとても單純なので、 少し遊べばやり方はわかる。 が、單純だから簡單だ、といふことにはならない。

ならない、どころか難しいよこのゲーム!  ちょこちょこやってゐるのだが、 中盤を超えた邊りから敵の攻撃がかなり痛くなる。 囘復手段はかなり乏しい上、 ダンジョンなんかだと連戰になるため、 一氣に削られてしまふこともしばしば。 うるさい、気が散る、一瞬の油斷が命取りってやつだ。 一番簡單な、初心者向け難易度でやってんすよ?

あとこのゲーム、 おれのやってるゲームにはありがちだが、 攻略情報がめちゃくちゃ少ない。 いやまあ、大して書くこともないのかもしれんが、 このアイテムは強い!とか、 このアイテムは地雷!とか、 さういふのほしいなあ。

このゲーム、ゲーム内で得られるロア(書物)といふアイテムがあって、 それはゲーム中には何の効果もないんだけど、 ゲームをやめたり死んだりしてメニューに戻った際にある、 ロアストアってので使へる通貨なわけ。 それで職業とかアイテムとかをアンロックしていく仕組み。 ローグライクでもあるよね、わずかばかりの引き繼ぎ要素。あれだ。 んで、ガイドがないからどれを優先的にアンロックすればいいのか、判斷つきかねるのである。 いいけどね。

1 プレイはけっこう時間がかかるのだが、 もうちょっとだけもうちょっとだけ、 とついついやってしまってやめどきがない。 いけませんよこれは。

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とかってこれ書いてる間にもちまちまプレイしてたらクリアできたぜやったー!

まあ最低の難易度なので大した自慢にもならないが、 やってみてわかったことをいくつかまとめとこう。

  • 藥草医はほぼ必須。一つの藥草で全體囘復できるから。ケチると死ぬのでケチらない。街に行ったら優先的に買へ。
  • なるべく貫通つきの武器を使ふ。中盤から敵の耐性がかなりでかくなるので貫通ないと辛すぎ。
  • ショックを与える武器もよい。敵の判定を一つ自動で失敗にできる。
  • 金は獲得ゴールド補正を固めたやつにまとめて囘收させ、あとで分配するのが賢い。
  • 隣接する対象にダメージが入る攻撃の存在を考へると、真ん中にタンクを配置するのがよい。

取り敢へずはこんなトコかな。 ラスボスはそれまで大事にとっておいた消費アイテムを大盤振る舞ひしたので樂勝だった。 上に書いた貫通つきの武器 2 つ、しかも片方はショックつきだったのが大きい。 全體攻撃持ちの武器を 2 つ確保できたのもよかった。 いやー、ホント引き次第だな。おもしろ。 メインシナリオを最低難易度でクリアしただけだから、 まだまだできることはたくさんあるな。あー、樂しみ。

PS4 版や switch 版も GW が終はった頃に出るらしいので、 興味が湧いた人は是非。

でもこれ、ほぼマウスのみで操作できるゲームだから、 PS4 とか switch は逆に操作めんどくささうな氣もちょっとする。

Getting Over It: first impression

Cut Copy といふバンドがある。 オーストラリアのバンドで、 ニューウェーヴっぽい爽やかな曲を作るので、 そこそこ好きなバンドだ。

ちっとも知らなかったのだが、 この Cut Copy の初期メンバーに Bennett Foddy の名前があった。 さう、クソみたいな難易度と壺に入ったおっさんといふシュールさで有名なゲーム、 Getting Over It を作った人だ。

マジかよ!と思ってインストールしてしまった。 このゲーム、ホントむずいな!

しかも、むずいだけならいいんだが、 ちょいちょいナレーターが煽ってくるのだ。

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うるせーーーーー。知っとるわ!!!!!!

とまあ、怒ったふりをしてみたが、 實際にゲームをやってるときは別にムカついたりしない。 寧ろ、ワハハと笑ひが出る。

このゲーム、何がむずいって、操作なのだ。 思ったやうにハンマーが動いてくれないといふよりは、 當り判定が細かくて、 うおあー、そこにハンマー引っ掛けるつもりはなかったんだあああ、 みたいなミスがしょっちゅう起こる。

で、焦ってさういふミスを重ねると、 あれよあれよとスタート地點まで戻されてしまったりする。 でも、やってると悔しいことに着実に上達していってしまふのだ。 かういふゲームっていかに動きを憶えるかだから、 何度も失敗してるうちに憶えてしまって、 リカバリーはけっこう餘裕になってしまふんだ、これが。

お蔭で「あっ、バカバカバカバカ!!!」とか「よっしゃあ」とか、 このゲームやってると獨り言が増えてヤバい。 友だちに見てもらひながらやったり、 友だちにプレイさせてそれを眺めたりするのも面白さうだ。 といふか、おれのプレイを見てほしい。 そして一緒に笑ってほしい。

實績厨のおれだが、 このゲームの全實績を解除するためには、 なんと 50 囘クリアしなくてはならない。 できるかな…。 RTA だと 1 分半とかでクリアしてんだよな。やべーわ。 おれなんか 2 時間ぐらゐやって、またスタートに戻されちゃったぞい。 鐵骨にハンマー引っ掛けて進んで行くトコむずいよ!

さうさう、書き忘れてゐたことがあった。 このゲーム、ナレーターがたまに音樂をかけてくれるのだが、 選曲がべらぼうにいい。 知る人ぞ知る名コンピ、 The Rise & Fall of Paramount Records シリーズに入ってゐるやうな、 戰前のブルーズやジャズを流してくれるのである。 たまーにしかかけてくれないのを殘念に思ふほどいい。 ラジオ的にずっと流してくれよー。頼むよー。

Crossing Souls #2

自分で書いたものだといふのに、前囘の記事やたら好意的でちょっと驚いてしまった。

はい、Crossing Souls、クリアしました。 ので、感想をば。

いや、まあ、出だしで察してくれたと思ふが、 前に書いたやうな、歩いてるだけで樂しい、 といふ感覺はなくなってしまった。

理由は單純で、全實績を取るために最初から何度かやり直したためだ。 このゲーム、アイテム蒐集實績があって、 まあ實はその實績、 どうもバグってゐてワンプレイですべて取り尽くさなくても解除されてしまふのだが、 アイテムをきちんと取れてゐない状態のセーブデータを殘すのが嫌で、 ついつい最初からやり直しまくってゐたら、 そもそもやる氣がなくなってしまった。

そんなわけで、昨年 11 月末にプレイしておきながら、 今の今まで放置してゐたわけだが、 久しぶりにやってもやっぱりだりーわ。

何が嫌だったかって、ジャンプだ。 2D アクションだから仕方ないのだが、 Y 軸と Z 軸がごっちゃになってゐて、 縱方向と高さ方向がわかりにくいくせに、 けっこうシビアなジャンプアクションを要求されるプラットフォームがよくあり、 落ちるとライフが減るのでイライラしてしまふのだ。 最終章に出てくるボスの一人でプラットフォームアクションを要求してきたのは許さんからな。

chapter は全部で 8 つあるのだが、 chapter 2 ぐらゐからストーリーが暗くなり、 最後まで明るくならないのもきつかった。 しかも途中まではやってゐたから、 このあとも暗いイベントあるんだよなあ、 と暗澹たる氣持ちで進める羽目になった。 いやさあ、80 年代が舞臺で子どもが主役なんだからもっと能天氣な明るい話にしてくれよ!

一應ネタバレは控へておくが、 なかなか救いのないストーリーだった。 最後に安易なハッピーエンドにしない邊りは好印象だったが、 おじさん、さういふ硬派さは要らないんだよなあ…。 ちょいちょい插入されるアニメもよくできてるし、 キャラも魅力的なんだから、 もっと莫迦っぽいストーリーでよかったのよ?

そんな魅力的なキャラも、 アクション面では魅力を失ってしまふのだから參る。 紅一點のチャーリーはほぼ活躍する場面がないし、 黒人 & デブ枠のビッグジョーは囘避の代はりに實裝されてゐるアクションが完全に死産。 弟は攻撃手段を持たないぼんくら。 5 人しかキャラいないのに、使へない行動多すぎだろ!  ビッグジョーは攻撃力が拔きんでてるから出番あるけど、 チャーリーは最初から最後までほぼ使はなかった。 ヒロインなのに…。

とはいへ、おれのやうな蒐集物は一周ですべて完璧に取り、 全キャラにアクション面での特徴を持たせろ! などと云ふうるさい人間でなければ、 普通に樂しく遊べる良ゲー。

随所に見られる 80 年代の小ネタ、 よくできたアニメとドット絵、 決して簡單ではないアクション、 濃密なストーリーと子どもらしさを活かしたうまいキャラ造形などなど、 ゲームとしてよい部分はたくさんあるし、 それらはどれもゲームの構成要素として重要なものばかりだ (まあ、小ネタはなくてもいいけど)。

だから、もし 80 年代にそれなりの思ひ入れがあるなら、 セールで買っても損はない。 5 ~ 6 時間でサクッとクリアできるはずだ。 とにかく、氛圍氣はべらぼうにいい。

逆に、おれのやうに全實績とらないと氣が濟まないどころか、 一周ですべての要素を押さえ尽くさないとヤダ! といふやうな厄介な人間にはおすすめしない。 どれだけ氛圍氣がよからうと、 何度もやり直すと飽きちゃうからね。

よくも惡くも、氛圍氣とストーリー重視のゲームだった。 アクション部分は改善の余地あり(ジャンプさへ改善してくれれば充分)。

それはつまり、一周すれば充分といふことであって、 輕く遊びたい人にはいいだらう。 おれは何周もできるアクションゲームが好きなので、 ちょっと好みとは違った。 總合的に見ればいいゲームだったけどね。

Can

海外での評価は知らないが、日本では Can の最高傑作といへば Future Days だとされることが多いやうに感じる。 が、昔からおれは全く贊成できない。 初めて聽いたときから今まで、 Future Days がおれの中で特別な位置を占めてゐたことはない。

といふのも、 Future Days が、Can の中では實に落ち着きに滿ちたアルバムだからである。 極めてアンビエント色が強いのだ。

といっても、おれがアンビエントをあまり好まないから Future Days はいまいちだ、と云ってゐるわけではない。 Future Days には、Can の大きな魅力の一つが決定的に不足してゐるのだ。

それは、Jaki Liebezeit のドラムである。

かういふ、ぐるぐるタカトコと民族的・呪術的なリズムを、 機械のごとき正確さで刻み續けるのが Jaki Liebezeit の、 そして Can の音樂の大きな魅力であるとおれは思ってゐる。 なのに、 Future Days にはかうした Jaki のドラムが聽ける曲は 1 つもないのだ (最後の曲で辛うじて聽けなくもない、といった程度)。 そんなアルバムの、どこが最高傑作なのか。 Jaki のドラムを無視するとか、パラッパラッパーかよ *1

そんなおれが Can の最高傑作と考へてゐるのは、 Tago MagoEge Bamyasi の 2 作である。

2 枚組であるにも拘らずだれることなく長尺の曲を存分に味ははせてくれる Tago Mago後に彼らのレーベル名ともなる代表曲 Spoon を始めとしたキャッチーな曲をコンパクトに詰め込んだ Ege Bamyasi のどちらが優れてゐるか、といふのはなかなかに難しい問ひだ。

例へば、 Tago Mago に收録されてゐる Oh Yeah といふ投げやりなタイトルを持つ曲。

この曲で、Jaki のドラムはほとんど同じフレーズの繰り返しである。 パターン自體もタムを使はない實に單純なものだ。 それなのにこのグルーヴ。ダモさんもノリノリである。 アルバムでは 7 分半で終はってしまふが、 上に舉げたライヴ版はなんと 18 分もある。 Michael Karoli のギターもスタジオ版とは違ってグイグイ來る。 惜しむらくは Holger Czukay の弾いてゐるベース音がほぼ聞こえないこと。

YouTube でコメント欄を見ると、 Jaki についてのコメントが評価を集めてゐることがわかる。 複雑なことをしてゐるわけではなく、 誰でも叩けさうな、 Jaki 自身の言葉を借りるならば monotonous なリズムなのに、 多くの人が、これは Jaki にしか生み出せないグルーヴであることを感じ取ってゐる。 いやあ、といふかね、これを聽いてグルーヴを感じないなら、 リズムに關しては全くのインポテンツだと思ったはうがいいよ。 それぐらゐ、このドラムはすごい。

Jaki のタカトコドラムといへば、これまた Tago Mago 收録の Halleluwah が有名なわけだが、個人的には Ege Bamyasi Spoon を推したい。 Jaki のドラムのみならず、 チープなドラムマシンを含め、 曲の構成要素すべてがかっこよくて息が詰まる。 たった 3 分の曲だからいいが、 これがもし 10 分ぐらゐあったら呼吸困難で死んでしまひさうだ。

しかし、この曲はなんでこんなにかっこいいのだらうか。 使はれてゐる音は間抜けな響きのものも多く、 これらをバラバラにしてしまふとかっこよさは雲散霧消してしまふとしか思へない。 なのに、實際にそれらを合はせたものを聽くと、摩訶不思議なかっこよさが立ち上ってくるのだ。

Can に限らず、クラウトロックと大雑把に呼ばれるドイツのロックは、 さうしたわけのわからないかっこよさを持ってゐるバンドが少なくない。 Faust なんかはその最たる例だし、 Can とは違った意味で革命的なリズムを生んだ Neu! なんかもさうだ。

そんな中で、Can の大きな特質と云へるのは、 知性といふか、クールさである。 Neu! のかっこよさは「おれにはこれしかないんだ!  だからこれがいちばんいいんだ!!」といふやうなもので、 知性なんてものはない。ハンマービートがあるだけだ(大好きです)。 Faust に知性がないとは云はないが、 彼らはひねくれ者集団であることを前に出しすぎてゐて、 そこが少し下品である(大好きですよ)。

Can はさうした氣負ひとは無縁だ。 そもそも、Can のメンバーでロックを聽いてゐたのは Michael Karoli ぐらゐのもので、 Jaki Liebezeit は Can 以前にジャズドラマーとして活動してゐたし、 Holger Czukay と Irmin Schmidt は Stockhausen の下で學んでゐた。 そんなメンバーがロックバンドをやったのだから、 ほかのバンドとは違った、一歩退いた目線があったのだと思ふ。 だからこそ、Can は實驗的でありつつも商業的にまづまづの成功を收めることができたのではないか。

そんな Can のメンバーも Irmin Schmidt を殘してみな鬼籍に入ってしまった。 仕方ないこととはいへ、悲しい。

ちなみに、Can のメンバーでは Jaki 一押しのおれだが、 ソロアルバムを一番聽いたのは Holger Czukay である。 Boat Woman Song があるからね…。 ソロ全部この路線でやってくれればよかったのになあ。

Ege Bamyasi (Reis)

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  • アーティスト:Can
  • Mute U.s.
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Tago Mago: 40th Anniversary Edition

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  • アーティスト:Can
  • Hostess Entertainmen
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The Singles

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  • アーティスト:Can
  • Imports
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Canaxis

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*1:パラッパラッパーといふゲームで Can の曲がサンプリング的に使はれてゐるが(最初の動畫のやつ)、 使はれたのはキーボード部分だけで、Jaki の特徴的なドラムは全く使はれてゐない。

Hylics

Hylics といふ 300 圓の安いゲームがあって、 だいぶ前に友だちから教へてもらって、 半額セールやってたときに買ってをいたんだけど、 La-Mulana が終はったのでやってみた。 ちなみに、こんなゲームだ。

で、まあ、その動畫がほぼすべてである。 初囘プレイでも僅か 4 時間でクリアできてしまったし、 別にもう一周やるやうなやりこみ要素もない *1

氛圍氣ゲー、と云っていいのかどうかはわからないが、 この氛圍氣が好きぢゃないと、特に面白くないだらうことは確かだ。

おれ?  おれはもちろん、最高に樂しみましたよ。 だってこんなどサイケなゲーム、面白くないわけがないだろ!!!

シュールな畫面もすばらしいが、 このゲームの肝はなんたって音樂である。 聽いてて不安になるレベルのサイケ。 いやあ、最高ですね!!!!!!

しかもなんとこのサントラ、soundcloud で無料公開されてゐる。

サービスよすぎる!!!!  しかも 58 曲もある!!!!  明らかにゲーム内で使はれてないやつまである!!!! 最高かよ!!!

ゲームなくてもずっと聽いてられるから、 bandcamp で flac が買へるやうにしてほしいなあ。 soundcloud は UI があんまり好きぢゃないから聽く氣しないよ。

肝心のゲーム性はどうなんだって?  いや、別に、その、世界觀以外に特筆すべきことはないです…。 JRPG を意識して作られたらしいけど、 DQ1 よりマップ狭いからね。 レベルの概念もないし、倒した敵は復活しない。 でも、別にそれで充分ラスボス倒せちゃう。

だって強化要素、3 つしかないもん。 敵から出るお金を貯めて装備を買ふ、 紙コップをゲットしてたまに見つかる謎の水を飲む(最大 MP 上昇)、 テレビを見て呪文を習得する。これだけ (3 人目のキャラはもう 1 つ強化手段あるけど)。 デスペナもなし(寧ろ死なないと取れないものすらある)。

ちなみに、最大 MP を上昇させる手段は謎の水しかないので、 仲間が 4 人揃ってから飲むやうにしたはうがいい。 でないと最後に憶える呪文、唱へられないやつができちゃうから。

しかし、mightiness(攻撃力に相當)以外のステはなんのために存在してるんだ。 だいたい、texture(手觸り?)、jollity(陽氣さ)、 cooking(料理力)、guts(ガッツ)、philology(文獻學)ってなんだよ!  意味わかるの guts しかねーぢゃねーか!  しかもそれすら何に使はれてるのか謎と來てゐる。

HP? おまへ、HP が何の略か知ってるか?  さう、hit point だ。 つまりあの數値は、どれだけ hit されても平氣か、といふ數値なわけだ。 だからおまへが防具を買ったときに、 最大 hit point が上昇するだけでも當然だよなあ~。 といふのが Hylics の防具である。

攻撃方法は全員指パッチン。 素晴らしきヒィッツカラルドかな?  斧や剣やガントレット(武器です)を装備してるはずなんだが…。

英語でしかプレイできないが、 特に讀まなくても進めるのに苦労はしない。 といふか、おれもほぼ讀んでない。 アイテムも呪文も使へば効果わかるし。 マシンスペックだって全然要らないぞ!

といふわけで、氣になった人は買ってプレイしてあげてほしい。 なんでかっつーと、なんと 2 が製作中で寄付を受け付けてるから。

ちょっと立體的になってるのが小癪だ。たまらん。 いやもうこれはアートですよアート。

普段のおれなら、アートだからってゲーム性が低いのはうんぬん、 と文句を云ふところだが、 ゲーム性以外の部分が好みすぎて何も云へない。 ずりいよ~。サイケは卑怯だよ~。

さて、次は何をやらうか。 ついさっきやうやく $5 まで下がった Enter the Gungeon を買ったからそれやってもいいんだけど、 La-Mulana でアクションやりまくったからアクション要素がないやつやりたい。 あー、でも、もうすぐ終はりってトコで放置しちゃってる Crossing Souls も片付けたいな。 惱ましい。

まあ、それより問題なのは、最近ほとんど音樂の記事を書いてないことなんだけど。 音樂は聽きまくってるけど、これについて書きたい!ってのがないんだよなあ。

*1:詳しく知りたければ、ピクシブ百科事典を讀むといい。 なぜかめちゃくちゃ詳しく書いてあるから。

I have obliterated La-Mulana !

やうやく La-Mulana の全實績を解除した。いやー、疲れた。 La-Mulana 漬けの一週間だった。

そもそも、6 年前に買って、地獄聖堂がしんどさうでやめて以来、 いつかは實績ちゃんと取りたいなあと思ひつつも放置してた La-Mulana を今さらやったのは、 去年できた友人が大の La-Mulana 好きだったからである。 なんと、その友人ですら、ムーブルクとの會話實績が取れてゐなかったのだ (好きすぎてしゃべりに行きまくってたらあと 1 つになった、といふのもすごいが)。

それまで、La-Mulana はおれの中ではもう終はって、やらないだらうゲームになってゐた。 だって 6 年も前のゲームですよ。 しかもアクションが一番きついところで積んじゃったから、 恐らく崩すことはないだらうなあ、と。

でも、6 年も前のゲームなのに、實績を取るためのチャートが未だにない、 といふのはガイドを書くのが好きなおれとしては、 ちょっと氣にかかることではあったのだ。

もちろん、これまでずっとさういったチャートが作られなかったのは、 そもそも普通の攻略チャートすら誰も書いてゐない、 といふのが原因だらうと思ふ。

La-Mulana は遺跡に隠された謎を追ふゲームだが、 きっちりこの順番で解かなくてはならない、といふやうなものは存在しないし (メトロイドヴァニアだからね)、 フィールドも廣いので、けっこう自由に探索できてしまふ。 さうしたゲームの特性をみんながよく知ってゐるからこそ、 攻略チャートのやうなものはほぼ作られてゐない (RTA チャートは當然あるけど)。

會話實績については、 「ポイントおよび特定の状況がトリガーになること」と 「そのポイントは何をすれば増えるか」といふ 2 つは判明してゐてガイドもあるが、 後者の調整はかなりシビアで、意識せずにやると簡單に逃してしまふ。

だから、自分でこの實績を取るためには、そこそこ綿密なチャートが必要で、 どうせ自分のためにチャート作るなら、ガイドとして公開してしまはう、 と思ったわけだ (まあ冷静に考へれば、一周で取らうとせず、何周かすればいいだけなのだが、 さすがに實績取るためだけに途中で放置されたデータ、 なんてものをいくつも作りたくはなかった)。

いやあ、やってよかった。本當に樂しかった。

自分の實績のためだけなら、まあ適當にプレイしちゃっていいんだけど、 ガイドを書くといふのが目標になってゐたから、 最初から何度も何度もやり直したし、細かい検証もたくさんした。 豫想してゐた通り、地獄聖堂では穴に落とされまくり、初囘クリアには 2 時間以上を要した。 仕掛けは豫め調べて行ったのに、だ。

改めてやって思ったのは、前の記事にも書いたけど、音樂がいいこと。 前に絶贊した Hotline Miami の音樂は、 純粋に音樂だけ聽いてもすばらしい曲が多かったのだが (音樂が本業のアーティストばかり起用してゐるのだから當然)、 La-Mulana はさうではなく、ゲームにぴったり、といふ意味ですばらしい。

別に音樂的にいまいち、といふわけではない。 そもそも、おれはゲーム音樂や映畫音樂といふのは、 純粋な音樂とは全く別物だと思ってゐる。 音樂が音樂だけで世界を構築しているのに對して、 ゲーム音樂や映畫音樂はゲームや映畫と一體で存在してゐるからだ。

例へば、この曲。

これは、單體で聽けば、まあ、なんてことはない曲だ。 でも、La-Mulana プレイヤーにとって、 これは Start を押したあと最初に聽く音樂であり、 冒険の始まりを告げる、わくわく感に溢れた曲なのである (Start を押す前にも 2 曲聽ける)。

實際、おれはこの曲を、曲單體で聽かうとはちっとも思はない。 この曲が流れるときには、やっぱり「ピュイッピー」と ウザかはいい長老からのメールを受信する音がなくては物足りない。 やむなく再生するときはゲームフォルダにあったメール受信音をわざわざ一緒に再生してしまふほどだ。

ゲーム音樂や、映畫音樂といふのは、さういふ、 プレイヤー自身の特定の記憶や體驗と密接に結びついてゐる。 普通の音樂だって、個人的な記憶や體驗と結びついてゐることはある。 でも、ゲーム音樂や映畫音樂は、 皆が似たやうな記憶・經驗とともに心に植え付けられるし、 それを前提として、さうした體驗に適した音樂が用意されてゐる。 つまり、ある情景を成立させる一つの要素なのであって、 獨立した存在ではないし、獨立したものとして語るのは不充分だと思ふ。

巨人墓場といふステージの曲 Giant's Cry を聽くと、おれはすぐ鬱陶しい氷の魔術師のテレポート音と魔法射出音を思ひ出してしまふし、 産声の碑のステージ曲 Song of Curry は迷ひまくって頭がおかしくなりさうだった苦労を追憶させる (音樂がループを多用してるのもあって尚さら)。 逆に、月光聖殿のやうに音樂がスリラーぢゃねえかと思ってたら、 入るたびにポーズを變へる Michael Jackson の壁畫が見つかるステージなんかもある。 記憶を植え付けてくるのではなく、過去に植え付けられたロックマンの記憶を想起させてくる空の水源の Curse of Ocean もアクションゲーム好きにはたまらないだらう。 (オリジナル版は AshGuine といふゲームのテーマ曲のパロディだったらしいが)。

そのやうに、ゲーム音樂といふのは、プレイヤーの感情を増幅させる。 ハラハラする場面、ウキウキする場面、思はず身構へてしまふ場面や、大きな感動を生む場面。 さうしたシーンを彩るのがゲーム音樂や映畫音樂の役割であって、 La-Mulana の音樂は、さういふところがすごくよくできてゐる。

もちろん、音樂以外の要素だって充実してゐる。 ゲームのメインである謎解きは多量かつ齒應へに滿ちたものばかりで欲張りすぎと云っていいレベルだし、 高度なアクションを要求されるステージや、 苦労させられるボスたち、 探索可能な廣大なエリアといった、 メトロイドヴァニアに必要なものは、どれも高レベルでまとまってゐる。

メインでない部分も凝ってゐる。 背景に關しては前にも書いたが、 NPC との會話もユーモラスで、惡意に滿ちたトラップ群でささくれだった心を癒やしてくれるし (「もう 5000 年待て」とか、好き)、 實績にもなってゐる、調べられる背景に盛り込まれた、ゲームにはほぼ無關係な考古學情報も多量だ。

廣すぎてどこに何があったか忘れてしまふマップや、 理不盡とも云はれる一部の謎解き、 獨特すぎるジャンプの擧動など、 文句をつけられさうな部分だってないわけぢゃない。

でも、慣れればそれは些細なことだ。 ヌルいゲームがやりたいなら、ヌルいゲームをやればよろしい。 自分の思ひ通りにキャラが動いてくれないなんて、アクションではよくあることだ。 さういふのを乗り越えられるほど上達できるプレイ時間を費やさせてくれる面白さを、 La-Mulana は持ってゐるから安心し給へ。

ま、謎解きに關してはほぼ完全に忘れてゐたのでカンニングしまくりましたけどね。 最初にやったときにさんざん惱んだからもういいやって。 昔やったときもちょいちょいカンニングしましたけど。 「理不盡だ!」っつって怒るより精神衛生上ずっといいでせう。 パズルゲームぢゃないんだし。

アクション部分だって、他人のを見て効率のいい動きを學んでから練習するはうが無駄にならなくていい。 實際、地獄聖堂 27 番目の部屋(石碑の中にドラキュエツがゐるところ)はめちゃくちゃ苦手だったのだが、 動畫を見てジャンプの仕方を憶えたら餘裕になった。 まあ、さっき書いたやうに、豫習してても油斷すればハマる罠にはハマるけどね。

何にせよ、諦めてゐた全實績解除を達成できたのは非常に嬉しい。 地獄聖堂は Wii では DLC 扱ひだったわけで、 さう考へると投げた時點で一通りゲームはクリアしてゐたのだから、 さういふ状態から、再度プレイして全實績解除まで行く日が來るとは思ってなかった (そもそも、今のパソコンにはインストールすらしてゐなかった)。

それが可能だったのは、La-Mulana の面白さと、 La-Mulana 好きの友人に出逢へたのが大きい。 おれのガイドは、それらへの恩返しだ。 ありがたうありがたう。

La-Mulana

La-Mulana っていふゲームがあるんですね。 メトロイドヴァニアな遺跡探索ゲーム。 半年ほど前に 2 が出たんだけど、 La-Mulana そのものが最初に出たのは 2004 年だか 2005 年だか、その邊りのはず。 當時はパソコンのみのフリーウェアで、 MSX をバリバリに意識した作品だった。

その完成版が出たのは 2006 年だけど、 2011 年に Wii 版が、2013 年 4 月には steam 版がリリースされたんだ。 ばっちりリメイクされて。

セール待ちばかりで新作をほぼ買はない我だが、 La-Mulana は steam で出た頃から心を惹かれてゐて、 結局、8 月末には買ったらしい。 $5.1 だったみたいだから、リリースから半年經ってないのに 66% オフだったのかな?

ともかく、買って、案の定ドハマリしたんだよ。 メトロイドヴァニアといふことにはなってるんだけど、 謎解きがえげつないんだ。 そんなヒントでわかるわけねーだろ!とか もうそんなの憶えてないよ!とか、さういふのばっかり。 随所に仕掛けられたトラップも惡意に滿ち滿ちてゐて、 ちょっと氣を抜くと穴に落ちてだいぶ時間を無駄にさせられたりするわけ。

なのに、樂しいんだよ。 「こんなトコに罠仕掛けやがって! ばっかぢゃねーの! わははははは」 なんて笑ひながらプレイしてゐた。 いや、一人でやってて、そんなこと聲に出しませんよ。 でも、「クッソwwwwwwww」みたいな聲はつい出ちゃう。 匙加減がちょうどいいんだらうね。 バカスカ死ぬんだけど、「さうだよな、さう來るよな、さういふゲームだもん、知ってた」 みたいな氣持ちになるだけで、滅多にイライラすることはない (もちろん全くイライラしないわけではないけれども)。

で、steam 版が出たから、實績が追加されたんだけど、 取得率が低いやつは、軒竝み凄まじい条件なんだよ。 マップがかなり廣くて、 初囘クリアに 20 ~ 30 時間は平氣でかかるゲームだから、 謎解きや順路を憶えた上で、 ボスや殺意むんむんフィールド地獄聖堂をさくっと切り拔ける技倆も必要になる。

まあ、ただ面白いゲームだから、何度もやってればそれなりに上達する。 全く無理、といふ感じではないんだ。

ところが、ある NPC との會話をすべて聞く、といふ實績が 2 つもあって、 これはかなり複雑なので、きちんと計劃を立ててやらないと大抵はミスる。 システムは明らかになってるんだけど、計算するのはかなりめんどくさい。 でも、いつかは取りたいなあ、と思ひつつ、 とはいへやりたいゲームは次から次へと出てくるわけで、 やらずにゐるうちに、2 が出てしまったわけだ。

例によってセール待ちだから 2 はまだ買ってないんだけど、 ふと氣が向いたので、その實績をとるためのチャートづくりを始めた。

いやあ、一週間ぐらゐかかってしまった。 久しぶりにやったけど、やっぱり面白いねえ。 音樂も實にいい。 すべからくゲーム音樂はかうであってほしい、とまで云ふと云ひすぎかな。 グラフィックスも凝ってる。 古臭いと思ふ人もだってゐるだらうけど、 床や壁が繰り返しで單調にならないやうに工夫されてたりするんだよね。

お蔭で、すっかり忘れてしまった謎解きも、途中で投げてゐた地獄聖堂も、 なんやかんやでクリアして、實績もちゃんととれた (全實績とれたわけぢゃないので、もうちょっとやるけど)。

その成果がこれだ。

日本語より英語のはうが情報が揃ってゐるので、 それらを參考にしてたら英語で書く羽目になってしまった (日本語譯してもいいけど超めんどくさいし、古いゲームだからあんまりやる氣はない――追記:結局すぐ譯しました)。 あまり縁のない google spreadsheet まで使って。

しかも、別に縛りプレイしようと思ったわけぢゃないのに、 會話をすべて聞くためには縛るしかなくなっちゃって、 結果的にえらく取得アイテムが限られるプレイになってしまった。 いやまあいいんだけどさ、ノーマルでやったし (竝行してハードモードでも進めてたけど、 實績条件を勘違ひしててクリアしたのに一からやり直さなくてはならないと發覺したのは内緒だ)。

もう 2 が出てだいぶ經つし、今さら 1 の實績とか云はれてもねえ、 と大抵の人は思ふんだらうけど、いいぢゃん。 作りたかったんだもん。 2 が面白かったから 1 もやってみよう、なんて人だってゐるかもしれないしさ。 何にせよ、けっこうな作業をやり終へたので滿足ですわ。

じゃあ我、寢ますね。

Aegis Defenders

ここしばらく、友だちから誕生日にもらった Aegis Defenders といふゲームをやってゐた (どうでもいいけど、Aegis は完全にマクガフィン)。 いつウィッシュリストに入れたのか、そもそもなんで入れたのかすら憶えてゐなかったのだが、 steam のストアページを見ると、 「タワーディフェンスゲームと 2D 横スクロールアクションゲームの爽快感が見事に融合した」 と書かれてゐる。 なるほど、確かにおれの好きさうなゲームだ。

といふわけで全實績を解除するまでやったのだが、もう二度とやらない。 面白くはあったんだが、不滿點が多すぎた。 steam のレビューは「おすすめする」か「おすすめしない」の 2 つしか選べないので、 仕方なく「おすすめする」にしておいたが、 金が餘ってて暇を持て餘してるなら買ってもいいんぢゃないかな、といふ程度のものでしかない。 あれで 2200 圓はたけーわ。75% オフで 550 圓ならおすすめできるけど。

steam のレヴューでは 「おすすめする」にした手前、最後のはうは一應褒めておいたが、 假に點數をつけられるなら、100點滿點で 67 點ぐらゐ。 60 點以上だから、まあおすすめできるといへばできるかな、といふ感じ。 不滿點のほとんどは、タワーディフェンス部分の出來だ。

とはいへ、おれは恐らくタワーディフェンスがそれほど好きではない。 そもそも、おれのタワーディフェンスの原點は、 むかーし PS で出てゐた「影牢 ~刻命館 真章~」だ。 あれがタワーを守るゲームだったかどうかはもう憶えてゐないが (なんたって 20 年も前のゲームだ)、 侵入者を罠にはめて殺し、ポイントを稼いで施設や罠を強化するゲームだったから、 まあタワーディフェンスとしてしまってよからう。

で、面白いゲームだったといふ記憶のみが殘る程度になった頃、 同じやうなゲームを見つけた。 Orcs Must Die! だ。

Orcs Must Die! はもうめちゃくちゃ面白かった (1 は 111 時間、2 は 281 時間も遊んでゐる)。 マルチができる 2 は、今でも誰かに誘はれたら遊んでしまふと思ふ (誰も誘ってくれないけど。1, 2 ともギフト餘ってるからほしければあげますよ?)。 影牢は暗いゲームだったが、Orcs Must Die! はひたすら陽氣。 輕口を叩きまくる主人公(インディーなのにボイス完全吹き替へ!)を操作し、 オークどもを罠にはめてブチブチ潰す。 オークもオークで、「おかあちゃーん」などと間抜けな斷末魔の悲鳴をあげてくれるのがいい。

3D アクションでもあるから自分でも攻撃できはするのだが、 Orcs Must Die! を最大限に樂しむなら、攻撃なんてしない。 攻撃するとポイントが低くなってしまふし。 ぢゃあ罠を仕掛けるだけなのかって?  いやいや、振ると風が起こって敵を押し戻せるベルトとか、 敵を凍らせる指輪とかを使って、ひたすら敵を罠に誘導するんですよ。 さうやって、いくつもの罠にオークをぶち当て、コンボを決めて殺すのが樂しいのだ。 だからもちろん、罠のダメージが上がるアップグレードなんてしない。 ダメージを低くすることで、より多くの罠に引っ掛けるのだ。

かういふことができたのは、いくつかの要因がある。 まづ第一に、罠を仕掛ける時間がそれなりにあること。 制限時間なしだとゲームにならないので、もちろん制限時間はあるべきなのだが、 慣れればそれなりに餘裕を持って罠が配置できる程度のものがいい。 罠で殺すんだから罠を配置する時間が足りないと、 自分の作戰がうまかったかどうかすらわからないもんね。 この點、ほとんどのタワーディフェンスゲームはうまい時間配分になってゐる。

第二に、敵をきちんと誘導できること。 これはタワーディフェンスの基本中の基本だが、 要するに敵の壊せないバリケードを設置できるか、といふことだ。 いくらトラップを配置したところで、 そこを敵が通らなければ意味はない。 そのために必要なのがバリケードで、 普通、タワーディフェンスでこのバリケードは攻撃されない (一部、攻撃する敵も出たりするが、それはアクセントになってゐて、 さういふやつらをいかにすばやく処理するかも腕の見せ所である)。 複數のゲートから出てくる敵を 1 つの道に誘導して殺し盡くすといふのはタワーディフェンスの基本戰略である。

第三に、罠が充分に強いこと。 神の目視点のタワーディフェンスはともかく、 Orcs Must Die!Sanctum、それに Aegis Defenders のやうに、 プレイヤーが介入できるゲームでは、プレイヤーの武器によって敵を殺すこともできる。 でも、それは別にタワーディフェンスで求められる要素ではない。 タワーディフェンスで求められるのは、いかに罠で殺すかだから、 プレイヤーは、「動けるデコイ」でさへあればいいのだ。 Orcs Must Die! はこの點が完璧だった。 Sanctum はプレイヤーがかなり強かったので、いまいち好みではなかった。

以上が、おれの考へるタワーディフェンスの面白さを保証する要點なのだが、 Aegis Defenders はこれら 3 つをほぼ滿たしてゐなかった。 まづ、罠配置の時間が全然足りない。 難易度イージーの 120 秒でやっと充分だと思へるレベルで、 ノーマル以上の 60 秒ではまるで足りないことばかり。 バリケードは存在するものの敵は容赦なく攻撃してくるし (罠そのものを消す敵すらゐる!)、 罠よりプレイヤーキャラのはうが壓倒的に強い。 といふか、プレイヤーキャラを使って敵を殺さないとタワーが守れないステージだらけ。

まあ、時間が短いのは、 このゲームが恐らく 2 人でマルチプレイすることを前提に設計されてゐるからだと思ふが、 誰もかれもがマルチできると思ったら大間違ひやぞ!  しかもこれ、このご時世にローカルマルチにしか對應してない。 平成も終はるってのに、そりゃあだめですよ。

確かに、steam のレヴューにも書いた通り、アクション面は惡くなかった。 いや、よくできてゐた。

でもさ、別にアクションやりたくて買った(買ってないけど)わけぢゃない。 アクション + タワーディフェンスって云ふから期待したんであって、 アクションだけなら外にいいゲームたくさんあるんだよね。 それこそ Risk of Rain とかさ。 タワーディフェンスと組み合はせるなら、 もっとタワーディフェンス要素に氣合ひ入れてくれないと。

タイトルに戻るたびにロゴを長々と(8 秒ほどだが)見せられるのもストレスフルだったし、 ボーナスステージの 1 つがオワタ式だったのもげんなり。 別にオワタ式のアクションゲームは嫌いぢゃないよ?  でも、オワタ式はオワタ式だとわかってやるから樂しいわけ。 RunGunJumpGun とか Super Meat Boy とか Bloody Trapland とか n++ とか、 おれだってそれなりにオワタ式のアクションゲーは持ってる。 でもそれらは、オワタ式であるのが前提だから、リトライが非常に簡單にできるやうになってるのよ。 ボタン一發でステージの最初に戻れるし、1 つのステージだってそれほど長くない。 さういふ、ゲーム本篇以外でのプレイヤーのストレスをいかに輕減するかって部分が、 すごくよく考へられてるわけ。

普通のアクションゲームに突如として盛り込まれるオワタ式ステージは、 さういふのが全くない。 「ここだけだから!」といふのを免罪符にして、ステージは微妙に長く、リトライ性も惡い。 だから、めちゃくちゃストレスになる (出來のいいゲームだったら辛うじて我慢できる、といふに過ぎない)。 しかも、Aegis Defenders の場合は、クリアすれば終はりぢゃなくて、 そのステージ内に別の取得要素がある上、1 度クリアしてしまったら 2 度とできない。 つまり、完璧にクリアするには、その餘分に盛り込まれたものを囘收しつつ(4 つもある!)、 同時にクリアを目指さなければならないわけだ。 そこをクリアしなくてもゲームクリアに問題がないとはいへ、全實績をとるには必須。 タイトルロゴの長さも相俟って最高に嫌いなステージだった。

1 ステージは短くて、最低 20 分あれば終はるし、 アクションは輕快、輕い謎解きもあってけっこう樂しく、 ちょっと暇だから 1 ステージだけやるか、みたいな氣持ちで起動できるのはよかった。 先に 67 點と述べたが、それなりの點をつける程度には樂しかった (全實績を取るために 4 周もしてしまったから、55 時間もプレイしてゐる)。 文句ばっかり書いてしまったのは、 結局おれが第二の Orcs Must Die! を求めすぎてゐる所爲でしかない。

ほんとなー、タワーディフェンスのトコがもっとよければ、かなりいいゲームになり得たのに。 惜しい。惜しいよ。 惡いところばかり書いたが、もし 2 が出て、 タワーディフェンス部分の不滿點が解消されてれば買ふと思ふ程度には氣に入ってゐる。 まあでも、レヴュー數を見る限り、あんまり賣れてないっぽいから 2 はないだらうなあ (日本語對應なのに日本語のレヴューはおれのを入れて 2 つだけ!)。 アクション + タワーディフェンスってのはすごく好みだから、がんばってほしいんだけど。

ええ、こんな内容ですけど、これは愛ですよ、愛。

https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP0325-NPJJ00235_00-0000000000000001

Haino Keiji #1

間抜けな話だと自分でも思ふが、 前囘の Red Bull Music Academy の記事に貼りつけた動畫のサムネイルを見るたびにテンションが上がってしまふ。 我がアイドル、灰野さんがででんと構へてゐるからだ。

以前、友人から「結局、一番好きなジャンルはなんなの?」と問はれた際に、 悩んだ擧句、「灰野敬二」と答へたことがある。 今でもその考へは變はってゐない。

好きなジャンルを訊かれたのに、 なんで個人名を答へてるんだよ、とお思ひの方もをられるかもしれない。 しかし、それこそが灰野さんのすごさなのだ。 灰野さんのやってゐる音樂は、灰野敬二としか云へない。

しかし、そんな灰野さんの音樂は、實にわかりにくい。 否、わかりにくいといふか、説明しづらいのだ。 音樂評論といふものを信用してゐない、と前に書いたと思ふが、 その例の一つが、灰野さんである。 灰野さんの音樂がなぜあんなにすばらしいのか、 きちんと音樂的に評論してもらひたい。 それができないやうな音樂評論は、評論でもなんでもなからう。

灰野さんの音樂を理解できるかどうかは、その人の音樂への態度に大きく依據してゐる。 ポピュラー音樂ばかり聽いてゐる人は、恐らく灰野さんのすごさを理解できない。 變な先入觀さへなければ、灰野さんの魅力には一發で氣づく。 現に、おれが灰野さんを聽かせた中で、灰野さんのファンになった人たちは、 初めて灰野さんを聽かせたときから、「灰野さんってすげー!」といふ反應を見せた。

どういふ音樂なのか、と問はれると答へやうがない。 たまに、ノイズだったりサイケだったりに分類されてゐるのを見たことがあるが、 灰野さんの音樂は、まあサイケであったりはするが、 斷じてノイズではない。 灰野さんをノイズだと思ってゐるやつらは、 「なんだかよくわからんがうるさいからノイズで」といふいい加減な基準で分類したとしか思へない。 全く阿呆である。 何もわかっちゃゐない。 あの灰野さんの美しい音樂の、どこがノイズだと云ふのか。

かつて『ドキュメント灰野敬二』といふ映畫が公開された際、 Jim O'Rourke はこんなコメントを寄せてゐた。

Chick Corea はピアニストです。Cecil Taylor は Cecil Taylor です。 John McLaughlin はギタリストです。Derek Bailey は Derek Bailey です。 Fredie Hubbard はトランペットを吹いて。Miles Davis は Miles Davis です。 灰野敬二は灰野敬二です。

でも、これですら正確ではない。 Cecil Taylor や Derek Bailey、Miles Davis といった人たちは、 確かに替への利かない音樂を創造した人たちだが、 それでも「ジャズ」といふジャンルに呑み込まれてしまふ (Bailey はちょっと難しいところだが)。 ジャンルを横斷したといへば、Frank Zappa だってさうだが、 Zappa の音樂も、既に存在するジャンルをいくつか組み合はせれば説明できてしまふ。 灰野さんの音樂は、さうではない。

灰野さんの音樂は、今までにあった音樂でも、これからできる音樂でもない。 ジャンルといふ安易な批評に囘收されることができないのに、 灰野さんの音樂は、聽けば一發で灰野さんだとわかる。 そんな音樂を作ってゐる人は、外にいない。

とはいへ、灰野さんの音樂を表現する言葉がまったくないのかといへば、そんなことはない。 誤解を恐れずに云ふなら、灰野さんの音樂は、邪王炎殺黒龍波である。

なにいってだこいつ、と思はれるだらう。 いや全く、その評価は正しい。 正しいんだが、さうとでも云ふしかないのだ。

例へば、灰野さんといへば、眞っ黒。 服も CD のジャケも眞っ黒だ (最近、CD のジャケはカラフルになってきたが)。 どんなときでもサングラスを外さない。 演奏中の灰野さんはまるでシャーマンだし、 奏でられる音樂も異世界のもののやうに響く。

つまり、邪王炎殺黒龍波だ。 別に灰野さんが飛影の腕から出る、といふわけではない。 必殺技に「邪王炎殺黒龍波」などといふ名を恥づかしげもなくつけ、 それを平氣で決め技として口に出せるセンス、 灰野さんの音樂は、それと同じ地平にある (まあ、さすがにそんなマンガのやうな名付けはされないが)。

灰野さんの恐ろしいところは、 それらが全て、樣になってゐることだ。 中二のがきんちょが、邪氣眼を氣取ってゐるのとはわけが違ふ。

中二病といふのは、普通は肥大化した自意識の發露であり、 承認欲求をこじらせた結果である。 他人とは一線を劃す自分を演じ、 他人を幼稚だと見下し、 自分を特別な人間であるかのやうに錯覺する。

中二病が恥ずかしいものであるのは、 それが錯覺でしかないからだ。 普通でないやうに演じる必要がある時點で、 中二病罹患者は特別でもなんでもなく、薄っぺらな人間に過ぎないとわかる。 特別でありたいと望み、特別であるやうに振る舞ふさまに實が伴ってゐないから傍らいたいのだ。

灰野さんは、結果的に中学二年生がかっこいいと思ひさうなことを體現してゐるが、 そこに承認欲求は恐らく全くない。 そして何より、灰野さんは特別であらうと演じてああなのではない。 灰野さんは灰野さんたらんとしてああなってゐるだけなのだ。 そこが中二病との大きな違ひであり、だからこそ灰野さんはかっこいい。

自意識は、灰野さんだって過剰である。 それは認めよう。 しかし、過剰でない自意識を持たない人間が、 どれほど非凡であれるといふのか。 灰野さんは確信を持って己の道を進んでをり、 さういふ人間の自意識は、過剰になるに決まってゐるのだ。

灰野さんの音樂を、あんなのどうせ出鱈目だらう、と切り捨てるのは容易い。 でも、例へば邪王炎殺黒龍波を地獄のミサワ化してしまふより、 邪王炎殺黒龍波について眞劍な議論をするはうが、マンガを樂しめると思ひませんか。 地獄のミサワだって面白いし大好きだけど、世の中すべてをああいふ見方で見ちゃったら、つまんないぢゃあないですか。

WATASHI DAKE? [LP] [Analog]

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Black Blues V.1

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Red Bull Music Academy

Red Bull Music Academy が今年で終了するらしい。 Red Bull は職場に來た試供品を飲んだことしかないおれだが、 Red Bull Music Academy は好きだった。 記事やインタヴューは面白いものばかりだったし、 講義の人選もおれ好みの人が多く、 動畫を見るのが苦手なおれですら、 けっこうな數を見たものだ。 なんたって、灰野さんの講義があるんですよ!

そんな Red Bull Music Academy が終はってしまふといふのは、 端的に寂しい。 YouTube にある講義の動畫なんかは消えないだらうが、 ウェブマガジン形式の記事やインタヴューはどうなるのだらう。 假に Yadastar が同樣の試みを續けてくれるとしても、 Red Bull の名前は使へなくなるわけだから、 ドメインは確實になくなるし、 さうなるとウェブサイトも消えてしまふ恐れがある。 どうにかよそで續けるなり保管するなりしてもらひたいものだ。