When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

Aegis Defenders

ここしばらく、友だちから誕生日にもらった Aegis Defenders といふゲームをやってゐた (どうでもいいけど、Aegis は完全にマクガフィン)。 いつウィッシュリストに入れたのか、そもそもなんで入れたのかすら憶えてゐなかったのだが、 steam のストアページを見ると、 「タワーディフェンスゲームと 2D 横スクロールアクションゲームの爽快感が見事に融合した」 と書かれてゐる。 なるほど、確かにおれの好きさうなゲームだ。

といふわけで全實績を解除するまでやったのだが、もう二度とやらない。 面白くはあったんだが、不滿點が多すぎた。 steam のレビューは「おすすめする」か「おすすめしない」の 2 つしか選べないので、 仕方なく「おすすめする」にしておいたが、 金が餘ってて暇を持て餘してるなら買ってもいいんぢゃないかな、といふ程度のものでしかない。 あれで 2200 圓はたけーわ。75% オフで 550 圓ならおすすめできるけど。

steam のレヴューでは 「おすすめする」にした手前、最後のはうは一應褒めておいたが、 假に點數をつけられるなら、100點滿點で 67 點ぐらゐ。 60 點以上だから、まあおすすめできるといへばできるかな、といふ感じ。 不滿點のほとんどは、タワーディフェンス部分の出來だ。

とはいへ、おれは恐らくタワーディフェンスがそれほど好きではない。 そもそも、おれのタワーディフェンスの原點は、 むかーし PS で出てゐた「影牢 ~刻命館 真章~」だ。 あれがタワーを守るゲームだったかどうかはもう憶えてゐないが (なんたって 20 年も前のゲームだ)、 侵入者を罠にはめて殺し、ポイントを稼いで施設や罠を強化するゲームだったから、 まあタワーディフェンスとしてしまってよからう。

で、面白いゲームだったといふ記憶のみが殘る程度になった頃、 同じやうなゲームを見つけた。 Orcs Must Die! だ。

Orcs Must Die! はもうめちゃくちゃ面白かった (1 は 111 時間、2 は 281 時間も遊んでゐる)。 マルチができる 2 は、今でも誰かに誘はれたら遊んでしまふと思ふ (誰も誘ってくれないけど。1, 2 ともギフト餘ってるからほしければあげますよ?)。 影牢は暗いゲームだったが、Orcs Must Die! はひたすら陽氣。 輕口を叩きまくる主人公(インディーなのにボイス完全吹き替へ!)を操作し、 オークどもを罠にはめてブチブチ潰す。 オークもオークで、「おかあちゃーん」などと間抜けな斷末魔の悲鳴をあげてくれるのがいい。

3D アクションでもあるから自分でも攻撃できはするのだが、 Orcs Must Die! を最大限に樂しむなら、攻撃なんてしない。 攻撃するとポイントが低くなってしまふし。 ぢゃあ罠を仕掛けるだけなのかって?  いやいや、振ると風が起こって敵を押し戻せるベルトとか、 敵を凍らせる指輪とかを使って、ひたすら敵を罠に誘導するんですよ。 さうやって、いくつもの罠にオークをぶち当て、コンボを決めて殺すのが樂しいのだ。 だからもちろん、罠のダメージが上がるアップグレードなんてしない。 ダメージを低くすることで、より多くの罠に引っ掛けるのだ。

かういふことができたのは、いくつかの要因がある。 まづ第一に、罠を仕掛ける時間がそれなりにあること。 制限時間なしだとゲームにならないので、もちろん制限時間はあるべきなのだが、 慣れればそれなりに餘裕を持って罠が配置できる程度のものがいい。 罠で殺すんだから罠を配置する時間が足りないと、 自分の作戰がうまかったかどうかすらわからないもんね。 この點、ほとんどのタワーディフェンスゲームはうまい時間配分になってゐる。

第二に、敵をきちんと誘導できること。 これはタワーディフェンスの基本中の基本だが、 要するに敵の壊せないバリケードを設置できるか、といふことだ。 いくらトラップを配置したところで、 そこを敵が通らなければ意味はない。 そのために必要なのがバリケードで、 普通、タワーディフェンスでこのバリケードは攻撃されない (一部、攻撃する敵も出たりするが、それはアクセントになってゐて、 さういふやつらをいかにすばやく処理するかも腕の見せ所である)。 複數のゲートから出てくる敵を 1 つの道に誘導して殺し盡くすといふのはタワーディフェンスの基本戰略である。

第三に、罠が充分に強いこと。 神の目視点のタワーディフェンスはともかく、 Orcs Must Die!Sanctum、それに Aegis Defenders のやうに、 プレイヤーが介入できるゲームでは、プレイヤーの武器によって敵を殺すこともできる。 でも、それは別にタワーディフェンスで求められる要素ではない。 タワーディフェンスで求められるのは、いかに罠で殺すかだから、 プレイヤーは、「動けるデコイ」でさへあればいいのだ。 Orcs Must Die! はこの點が完璧だった。 Sanctum はプレイヤーがかなり強かったので、いまいち好みではなかった。

以上が、おれの考へるタワーディフェンスの面白さを保証する要點なのだが、 Aegis Defenders はこれら 3 つをほぼ滿たしてゐなかった。 まづ、罠配置の時間が全然足りない。 難易度イージーの 120 秒でやっと充分だと思へるレベルで、 ノーマル以上の 60 秒ではまるで足りないことばかり。 バリケードは存在するものの敵は容赦なく攻撃してくるし (罠そのものを消す敵すらゐる!)、 罠よりプレイヤーキャラのはうが壓倒的に強い。 といふか、プレイヤーキャラを使って敵を殺さないとタワーが守れないステージだらけ。

まあ、時間が短いのは、 このゲームが恐らく 2 人でマルチプレイすることを前提に設計されてゐるからだと思ふが、 誰もかれもがマルチできると思ったら大間違ひやぞ!  しかもこれ、このご時世にローカルマルチにしか對應してない。 平成も終はるってのに、そりゃあだめですよ。

確かに、steam のレヴューにも書いた通り、アクション面は惡くなかった。 いや、よくできてゐた。

でもさ、別にアクションやりたくて買った(買ってないけど)わけぢゃない。 アクション + タワーディフェンスって云ふから期待したんであって、 アクションだけなら外にいいゲームたくさんあるんだよね。 それこそ Risk of Rain とかさ。 タワーディフェンスと組み合はせるなら、 もっとタワーディフェンス要素に氣合ひ入れてくれないと。

タイトルに戻るたびにロゴを長々と(8 秒ほどだが)見せられるのもストレスフルだったし、 ボーナスステージの 1 つがオワタ式だったのもげんなり。 別にオワタ式のアクションゲームは嫌いぢゃないよ?  でも、オワタ式はオワタ式だとわかってやるから樂しいわけ。 RunGunJumpGun とか Super Meat Boy とか Bloody Trapland とか n++ とか、 おれだってそれなりにオワタ式のアクションゲーは持ってる。 でもそれらは、オワタ式であるのが前提だから、リトライが非常に簡單にできるやうになってるのよ。 ボタン一發でステージの最初に戻れるし、1 つのステージだってそれほど長くない。 さういふ、ゲーム本篇以外でのプレイヤーのストレスをいかに輕減するかって部分が、 すごくよく考へられてるわけ。

普通のアクションゲームに突如として盛り込まれるオワタ式ステージは、 さういふのが全くない。 「ここだけだから!」といふのを免罪符にして、ステージは微妙に長く、リトライ性も惡い。 だから、めちゃくちゃストレスになる (出來のいいゲームだったら辛うじて我慢できる、といふに過ぎない)。 しかも、Aegis Defenders の場合は、クリアすれば終はりぢゃなくて、 そのステージ内に別の取得要素がある上、1 度クリアしてしまったら 2 度とできない。 つまり、完璧にクリアするには、その餘分に盛り込まれたものを囘收しつつ(4 つもある!)、 同時にクリアを目指さなければならないわけだ。 そこをクリアしなくてもゲームクリアに問題がないとはいへ、全實績をとるには必須。 タイトルロゴの長さも相俟って最高に嫌いなステージだった。

1 ステージは短くて、最低 20 分あれば終はるし、 アクションは輕快、輕い謎解きもあってけっこう樂しく、 ちょっと暇だから 1 ステージだけやるか、みたいな氣持ちで起動できるのはよかった。 先に 67 點と述べたが、それなりの點をつける程度には樂しかった (全實績を取るために 4 周もしてしまったから、55 時間もプレイしてゐる)。 文句ばっかり書いてしまったのは、 結局おれが第二の Orcs Must Die! を求めすぎてゐる所爲でしかない。

ほんとなー、タワーディフェンスのトコがもっとよければ、かなりいいゲームになり得たのに。 惜しい。惜しいよ。 惡いところばかり書いたが、もし 2 が出て、 タワーディフェンス部分の不滿點が解消されてれば買ふと思ふ程度には氣に入ってゐる。 まあでも、レヴュー數を見る限り、あんまり賣れてないっぽいから 2 はないだらうなあ (日本語對應なのに日本語のレヴューはおれのを入れて 2 つだけ!)。 アクション + タワーディフェンスってのはすごく好みだから、がんばってほしいんだけど。

ええ、こんな内容ですけど、これは愛ですよ、愛。

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