When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

Houkago Himitsu Club

『放課後ひみつクラブ』といふマンガが好きだ。 普段なら見向きもしない Webマンガ総選挙 とやらでわざわざ投票するぐらゐ。

『放課後ひみつクラブ』は、學園のヒミツを暴くことにご執心なエキセントリック少女蟻ケ崎さんと、 それに付き合はされる猫田くんが、ヒミツっぽいものに勝手に氣づき、 それを探る一話完結型のギャグマンガである(前後篇のときもある)。

なんといっても、まづ繪がいい。

デフォルメ的でありながら、明確にさうと感じさせない鹽梅で、 これこそマンガと云ひたくなるキャラデザイン。 ふさふさまつ毛に綺羅びやかな瞳。 とにかく全キャラかはいい。

細やかなツッコミもいい。

『放課後ひみつクラブ』その 4 より、リモート授業を受けるために猫田くんの部屋へきた蟻ケ崎さん

大阪に生まれ育ったからか、自分もいちいちツッコミを入れてしまふ性格なのだが、 さういった部分でこのマンガのチクチクとしたツッコミに癒やされてゐるのだと思ふ。 最新話で云へば「それ以上しゃべらないで」「土だよお」「面白料理用語の引き出しを開け始めた」といった丁寧なツッコミもいいし、 「部室」「調味料」「星」といった名詞 1 つでのシンプルでキレのあるツッコミもよい。

テンポもすばらしい。

1 ページに 1 囘はボケとツッコミがある。 「不当に部室を所有している部活一覧」に書かれた理由、「まずはここね」と扉を開くポーズ、 世界征服と書かれた掛け軸、「むぐうぐぐ むぐおぐぐ むぐぐぐ?」「むぐぐ うぐおぐう うぐおぐぐ」。 怒涛だ。

そして猫田くんの優しさ。 最新話でも「毎日探しているからね 必死に」「よかったね」などといった科白に表れてゐるが、 11 話の尊さといったらもう…!  いやまあ、完全にぶっ飛んでゐる蟻ケ崎さんにずっと付き合ってあげるのだから、それだけでも優しさは相當なものとわかるのではあるが。

ギャグマンガばかりをマンガと思ってゐるわけではないが、 『放課後ひみつクラブ』は實にマンガらしいマンガだと思ふ。 日本はマンガ大國なので、マンガにおける表現は實に多彩だ。 『放課後ひみつクラブ』にさういった先進性は特にないが、 現在の技術と感性で、古めのマンガ表現を敢へてしてゐる感じがよい。 今わざわざ 70 年代ロックやる感じ、とでも云へばよからうか。

しかしこのマンガ、なぜか埋め込みがちっとも機能せず、 ジャンププラスへのリンクも twitter へのリンクもまるでだめだ。 この記事の最初に 2 つ埋め込みリンクを貼ってゐるんだけど、見えませんよね?  困るなあ。

(機能するやうになったみたいなので、埋め込みリンクは 1 つにしておきました)