When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

UnEpic #1

ほしいなほしいなと思ってゐながら、 なんかバンドル入りしさうだよなあ、と思ってスルーしまくってゐた UnEpic を遂に買った。 バンドル入りするどころか、どんどん割引率が澁くなりつつあったのに、 久しぶりに humblebundle で 75% オフになってゐたからだ。 UnEpic 持ってる友だちからも買へ買へ云はれてたし、 一緒にやってた Police Stories もクリアしちゃったからね(過去の記事に追記してあります)。

ちなみに、その友人は別にメトロイドヴァニア好きではない。 この UnEpic、メトロイドヴァニアなのにマルチプレイがあるのだ。 マルチのあるメトロイドヴァニアって珍しいと思ふ。 まあ、先日の Guacamelee! シリーズはマルチありますけど。

で、マルチとシングルと兩方やってみたんだが、 なんとこのゲーム、マルチとシングルが全くの別ゲー!  シングルは「藥キメて TRPG やってたはずが、便所に行ったと思ったら謎の城にゐた」 といふ導入から始まるメトロイドヴァニアなのだが、 マルチは仲間内でプレイしてる TRPG セッションを 2D ゲーとして描写したものといふ設定。

だから、システムこそ同じではあるが、 シングルがメトロイドヴァニアであるのに對して、 マルチはステージ型になってゐる。 今囘のセッションはかういふステージ、 それをクリアしたら次はこんなステージ、といふ具合に、 キャラを引き繼ぎつつ、新たなセッションをどんどんクリアしていく形だ。

更に、マルチのはうは公式が用意したセッションだけでなく、 ユーザが作ったセッションをワークショップから導入して遊ぶこともできるので、 飽きない限り、蜿蜒と遊び續けることが可能。

シングルはシングルで、會話がおふざけだらけであることを除けば、 ほとんどオーソドックスなメトロイドヴァニアと云っていい。

メトロイドヴァニアはメトロイド寄りのものが多いが、この UnEpic はかなりキャッスルヴァニア寄り。 なんたって、レヴェルの概念が存在するのだ。

レヴェルが上がる=單に強くなる、のであれば大したことはないが、 このゲーム、レヴェルが上がるとスキルポイントがもらへる仕組みになってゐて、 そのスキルポイントを何に振るかによって、スタイルが變はる。 つまり、「ビルド」が存在する。

おれは初囘プレイなので、 今囘は槍と火炎魔法および冷氣魔法を中心に育ててゐるのだが、 近接武器だけでも槍のほか、短劍、長劍、斧、鈍器、杖の 6 種類がある。 このうち、最初の 3 つは斬属性、うしろ 3 つが壊属性みたいな區分になってゐて(斧のみ、兩方の属性を持つ)、 敵によって斬属性に弱く壊属性に強いものもゐれば、その逆もゐるため、 ひとつの武器で乘り切るのはちょっと大變になってゐる。 また、短劍ならバックスタブができたり、杖なら魔法の威力がアップしたりと、 武器種ごとに特性がある。 武器にもレヴェルが設定されてゐるため、 強い武器はスキルポイントが振られてゐなければ装備すらできない。

それに加へて、遠距離攻撃ももちろん用意されてゐて、 定番の弓に加へ、ワンドでも遠距離攻撃はできる。 魔法は火炎、冷氣、囘復、精神、祕術、神聖、變化、防御とやたら豊富だが、 1 つのエリアをクリアする直前に 1 つの属性を憶えられる、といふ感じなので、 50% 探索を終へたおれは、まだ火炎、冷氣、囘復の 3 つしか知らない。

とまあ、多彩な攻撃、防御、バフが可能なのだが、 そのお蔭でショートカットキーが不足するのは困ったところ。 まあ、厳選すればギリギリ行けさうではあるんだけど。 雑魚にしてもボスにしても、弱點を探りながら進めるといふのはメトロイドヴァニアにしては珍しく、面白い。

肝心のメトロイドヴァニアとしての出來もすばらしく、 隱し通路のやうなものはしょっちゅうだし、 クリアするとボーナスアイテムなどがもらへるサブクエストもたくさんある。 マップも廣いし、ボスはそれなりに齒ごたへあり。 ただ、一度行ったところへ後に訪れると別のルートが開通してゐる、 といった感じのことはない。 氣づきさへすれば、初囘の探索ですべて隱し要素は見つけられる感じ。

しかも、嬉しいことに、マップに一行メモをつけることができる。 この機能はかなり嬉しい。 おれは「この先に進むには圖書館の鍵が要るな」って部屋には「library key」とメモしたり、 松明を全部つけた音がしなかった、どこかに部屋が隱れてゐるはず、みたいなときは「unlit」とメモしたりしてゐる。 あとでマップを見たときに、メモ書きのある部屋には印がついてゐるので、行くべきところがすぐわかる。 めちゃくちゃ便利なので、この機能はすべてのメトロイドヴァニアのみならず、 マップが重要なゲームはすべからく實裝しろ。 Legend of Grimrock、おまへのことだぞ。

閑話休題。

シングルプレイでは、 初っ端にゼラトゥルといふ魔法使ひみたいなやつに憑依されるのだが、 主人公はそいつに輕口を叩きながら進んでいく。 この會話がいちいち下品かつユーモラス。 パロディ(といふか引用)ネタも多いが、すぐにパロディだと氣づけるやうな會話になってゐるので、 スクショを撮っておけば、ググって「ああ、このネタだったのか」と調べられる親切さ。 Wodehouse の小説を、思ひっきり低俗にした感じ。 飜譯もばっちりで、違和感まるでなし。 かういふゲームをいい翻譯で樂しめるのは本當にありがたい。

實績をすべて取るために、クリアしたあとは Hard++ でやり直すつもりであるが、 今のところ不滿はまったくなく、とても樂しんでゐる。 特に、先日までやってゐた Guacamelee! 2 が、 探索部分が弱くアクション要素が強いメトロイドヴァニアだったので、 探索たっぷり、アクション控へ目な UnEpic は對照的で、 それもあって探索欲みたいなのがもりもり滿たされてゐる。

グラフィックはしょぼいし、さして新しいゲームでもない(2014 年發賣)。 でも、そんなのがゲームの面白さを決めるわけではないのだ、 といふことを改めて感じさせてくれる。 メトロイドヴァニアとしては珍しくキャッスルヴァニア寄りなのは思った以上に樂しいし、 メトロイドヴァニアとして押さへるべきところはしっかり押さへてゐる。 ユーモアたっぷりの會話も見事。 Environmental Station Alpha もさうだけど、 よくかういふの一人で作れるもんだ。 メトロイドヴァニアが好きなら、絶對にプレイすべき傑作。

(2019/12/12 追記)

全實績を解除したんで、ビルドやチャレンジに關することもちょろっと書きました。