When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

Barotrauma

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No Man's Sky の大型アップデートが來たので、 そっちをやるぞと思ってはゐつつもやめられないゲームがある。 この Barotrauma だ。

どんなゲームかと問はれると、答へるのが難しい。 潛水艦クルーになり、基地へ寄港しながら先を目指すゲームではあるのだが、 なんといふジャンルに該當するのかがわからないのだ。 シミュレーションとは違ふし、サバイバルといふわけでもない。 どちらの要素もあるが、探索がメインのやうな氣もする。

實際のゲーム畫面はこんな感じである。

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かういふ 2D 畫面で、クルーを操作しながら、ミッションをこなし、次の基地へ向かふ。それがすべて。

ちなみに舞臺は木星の衛星エウロパで、 實際どうなのかは知らないが、このゲームでは氷に被はれた世界であり、 基地もまた氷の下に作られてゐるため、太陽を拝むことはない。 潛水艦が舞臺のゲームではあるが、潛水艦を降りても、暗く陰鬱だし、基地の外へ出ることもできない。

ミッションは海の底に沈むアーティファクトの囘收、人類を脅かす巨大魚や海賊との戰鬪、 人物や貨物の輸送などいろいろある。 アーティファクトの囘收は船外活動が必要で、 そのミッションがなくとも、貴重な物資を手に入れるために船外活動を行ふことはある。

で、このゲーム、やたら難しい。

潛水艦は公式で用意されてゐるのだが、これがもう、どれもこれも評判がよくない。 そのため、多くのプレイヤーは steam ワークショップに公開されてゐる潛水艦を MOD として導入することになる。 が、コアなプレイヤーは、ゲームに付屬してゐる潛水艦エディタを用ゐ、自前で潛水艦を用意する。 このエディタ、なんと潛水艦だけでなく、自キャラや敵といったものまでエディットできてしまひ、 使ひこなせれば、ゲームのかなりの部分が弄れるやうだ。 實際、エディタを 24 時間使ふ、なんて實績もある。

ゲームとしては、とにかく壊れやすい潛水艦のメンテナンスに氣を配り、 襲ひくる敵を殲滅し、目的地に辿り着くだけなのだが、 どれも思ったやうにうまくはいかないため、毎囘ひいこら云ひながらクリアする羽目になる。

なのに、これが滅法樂しいのだ。

そもそも、ゲーム内容が複雜なため、 最初はできることがほとんどない。 チュートリアルは不親切だし、程度の低い機械飜譯は何を云ひたいのかわからないことがしょっちゅう。 日本語の情報もあまり充實してゐないし、 なんならメインメニューには「気圧障害 wiki」と書いてあるほどで (氣壓障害とは、このゲーム Barotrauma の譯語だが、 そこ譯されちゃったらわけわかんないんだよなあ)、 とにかく、何をどうしていいのかさっぱりわからない。

それが、やればやるほど知識が増えていき、できることも増える。 金で解決するしかないと思ってゐた問題も、金で解決できるものばかりでないことがわかったり、 金で解決できないものは自力で解決できることがわかったりする。

そして、さうやって知識が増えれば増えるほど、やっぱりわからないことも増えていく。 アーリーアクセスの癖に、やたら奥が深いゲームなのだ。

それを四苦八苦しながら、友だちとクリアしていくのは、とても面白い。 ソロでもできなくはないバランスのやうだが、これは友だちとやるのが絶對にいい。

今日なんて、治療のためにフェンタニルといふ鎭痛劑を使ったら、 これが阿片系の藥で、ばっちり阿片の離脱症状になり、 なんと幻覺・幻聽に襲はれた。 潛水艦の中で火災が發生したので慌てて消火活動に勤しんだのだが、 友人は「いや、火事なんて起こってないから」と涼しい顏。 なに云ってんだ!と消火器を抱へてバタバタしてゐたのだが、 實際は離脱症状の所爲でおれにだけ見えてゐた幻覺だったといふオチ。

いやあ、ビビりましたね。まさか、ゲームの中で、自分の頭だけがおかしくなった状態を經驗するとは思はなかった (阿片系の鎭痛劑を使ったら、ナロキソンで離脱症状を緩和しなくてはならないらしい──知らんがな!)。

そんな感じで、いろんなことが細かく設定してあり、落ち着きのない潛水艦生活を堪能できる。 閉所恐怖症のケがあるおれは、現實でこんなこと絶對にごめんだが、ゲームなら笑って見てゐられる。 週末には discord で毎囘ゲームを開催してくれる日本人の方もゐる。 バグはあるし AI もバカで、飜譯はひどいものだが、それを補ってあまりある面白さがある。 これだけ書いてて、面白さの 1/100 も傳はってないなと感じるので、 この駄文でもし興味を持った人がゐるなら、是非買って、やってみてほしい。 ちょっと知識がつくまで遊べば、そのあとはずぶずぶとこのゲームの虜になるはずだ。