When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

Macha Potato Salad: Animation Tripping

取り敢へず、何の情報も仕入れず、 このアルバムを聽いてほしい。 アルバム情報とか絶對見ちゃだめ。 いいから再生ボタンだけ押せ (再生ボタン押すと 9 曲目から再生されてしまふので、 1 曲目のタイトルをクリックするのがベスト)。

と、強くアピったのは、これからおれが書く悔恨に由來してゐる。

いろいろな素材がハイテンションで目まぐるしく切り貼りされるこの音源は、 bandcamp から届く「おまへのフォローしてる連中がこんなアルバム買ってたよ!」といふ、 怒涛の情報の洪水から見つけたものなのだが、 聽きながら畫面をスクロールしてひどく後悔した。

まあ、ネタばらしってほどのことではないが(スクロールすれば誰でも見られるので)、 何に參ったかって、トラックリストの下にあるアルバムの紹介文冒頭、 構想一年、制作二年。三年(=高校生活全て)を費やし完成させたマッチャポテトサラダの五作目のアルバムってやつだ。

高校生なのかよ!!!!!!!!!!

もうめちゃくちゃ損した氣分だ。いや、別に高校生ごときの音樂なんて聽くに値しねーぜ、とか思ったわけぢゃない。

ではなくて、それを讀んだ時點で、おれの中に「高校生なのにすごい」といふ、拭ひ難いバイアスが生成されてしまったからだ。 ああああああ、もっと純粋にこの音樂を味はひたかったのにいいいいいいい。

實際、高校生であることが問題にならないぐらゐこのアルバムの音樂は面白い。 だから、學割ならぬ高校生割引みたいなものを己の頭から取り去りたいのだが、 殘念ながらこれはほぼ不可逆な變化なので、おれにはどうしやうもない。 面白いゲームを評するときに、「記憶を消してまた 1 からやりたい」と云はれることがあるが、 ホントそんな氣分。 なんで高校生活全てとか書くのよおおおおおおおお。

まあ、そんな思ひをしてしまふ最大の原因は、 自分の中にある、「若い=大したことない」といふ侮りがあるからであって、 常日頃から作品に年齢は關係ないと思ってゐれば、 こんな思ひを感じることもなかったわけだ。 自分が無駄に齡を重ねてきたわけではない、と信じたい心の裏返しですかね、ハハハ…。

それにしても、高校生がこんな音樂を作れるなんて、未来明るすぎる。 タワレコの運營するレヴューサイト Mikiki でのレヴューは、 タイトルで作者が高校生であることをバラした擧げ句、 アルバムに諦念が漂ってる、みたいなことを書いてゐたが、 アルバムにどれだけ諦念が漂ってゐようが、 正直、こんな若い才能がゐるってわかって、おれにとっては希望しかないっすね。 それに、このアルバムも高校生の視點が感じ取れて、興味深いんですよ。 そのことだけは、作者が高校生であることを知らないとわからないから、得したといへば得した。

ああ、でもできるなら、記憶消して聽きてえ~。