When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

Baba is You

去年骨までしゃぶったゲーム Environmental Station Alpha の作者 Hempuli こと Arvi Teikari が 2 週間ほど前に新しいゲームをリリースした。 その名は Baba is You

まあ、ゲーム自體は itch.io でけっこう前から β 版がリリースされてゐて、 Hempuli 氏自身のブログでもちょいちょい進捗状況が書かれてゐた。

ESA 2 の情報を求めてブログを讀んでゐたおれは、 その可愛らしいゲームはいいから早く ESA 2 作ってよ、と思ってゐたのだが、 リリース後に Automaton の記事を讀んで、俄然ほしくなってしまったのだ。

で、ほしいなほしいなーと思ってゐたら、 ESA を教へてくれた友だちが、誕生日プレゼントにこれをくれた。 やっほう。

そんなわけで、早速遊んでゐるのだが、このゲームめちゃくちゃおもしれえ。 Automaton の記事がだいぶうまくゲームを紹介してゐて、 そこに附け加へることはほとんどないのだが、 一言で云へば、「いかにズルするか」といふのが肝のゲームである。

基本的なゲーム内容は、おっさんならわかると思ふが、 DQ3 のエジンベアの地下で渇きの壺をとるためにやらされたパズルとほぼ同じである。 石を押して、望みの位置まで動かすといふあれだ。 ただ、真っ当にそのパズルを解く必要は全くなく (といふか、普通には解けないやうな形になってゐることがほとんど)、 自分でルールを捻じ曲げて勝利条件を満たしてね、となってゐるのがこのゲームの特色。 エジンベアのあれと違って手輕に手順を戻せるのも嬉しい。

この樂しさは、實際にやってみないとわからないと思ふ。 Baba is You といふタイトルのとほり、 プレイヤーが操るキャラは Baba といふ何やら可愛い生物なのだが、 Baba の部分は別の文字に置き換へることもできるので、 岩になったりドアになったりできる。 そんなことしてどうすんだ、と思ふかもしれないが、 さうすることで、Baba から見れば障害物があって入れないところにも入れたりするし、 自分でなくなってしまった Baba をゴールまで運んでから改めて Baba になることでゴールインする、 といったやうなこともできる。

極端な例だと、Baba is You といふ文章と、 Baba is Win といふ文章を兩立させることができれば、その時點で勝ちだ。

Automaton の記事には解法が複數あるやうに書かれてゐるが、 やってみた感じ、ステージを進めば進むほど制限がきつくなり、 解法は 1 つか 2 つしかないんぢゃねーの?といふ氣になる。 が、別にそれがゲームの面白さを損なったりはしてゐない。

このゲームの面白さは「えっ、そんな方法でいいのかよ!? まじで??!??!!」 といふ驚きであり、このゲームのすごいところは、 それ(ら)が普通に想定された解法であらう、といふことだ。 Environmental Station Alpha も、そんな進め方していいの?と思へるやうな進み方が きっちり想定されてゐた、實にメトロイドヴァニアなゲームだった。

Environmental Station Alpha だけなら、メトロイドが好きで好きでたまらないんだなあ、 といふので片附けられるのだが、 今囘の作品はメトロイド要素ゼロのパズルゲームであり、 しかも自分でルールをいじれるといふ、メタいゲームでもある。 天才ぢゃん、Hempuli。

パズルゲームでメタ要素があるものといへば、The Stanley Parable に代表される、 パズルゲームの舞臺裏を見せてしまふといった感じのものが多かったが (小説で云へば、作者が出てきてしまふやうなタイプ)、 Baba is You はさういふものとは違ふ、正統派メタパズルゲームだと思ふ (そんなジャンル聽いたことないけど)。

何はともあれ、パズルゲームが好きなら、 いや、パズルゲームが好きでなくとも 買って損はない傑作である。 おれのフレ(ESA の RTA 走者)は β の頃からやってゐて、プレイ時間は 120 時間を超えてゐるが、 それでもまだ全てクリアできていないやうだから、たっぷり遊べるのも保証されてゐる (1 ステージは短いが、全部で 200 ステージ以上あるらしい)。 Steam だけでなく、Switch でも出てゐるやうなので是非どうぞ(例によってアメリカ限定だが)。