When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

Led Zeppelin: II

前囘の記事を書いた所爲で、Led Zeppelin 聽きたい欲が暴發してしまひ、Led Zeppelin ばかり聽く週末を過ごしてしまった。 しかも、ヘッドフォンをした上で寢そべって目を瞑るといふ贅澤な状態で堪能した。

久しく聽いてゐなかった In through the Out Door を聽いて 新リマスターの音の良さに改めて感動したり、 出たばかりの The Song Remains the Same を聽いて 「やっぱり zep のライブ盤はいまいちだなあ」と生意氣に思ってみたり、 The Complete BBC SessionsSunshine Woman を 聽いて音の惡さと正式なスタジオテイクがないことを嘆いてみたり、 今さら IV の二周囘ったすごさに改めて氣附いたりしてゐたのだが、 何度も聽いてしまったのは II である。

なんだ、ロックはほとんど聽かなくなってしまったと書いておきながら、 ロックのことばかり書いてゐるな。

II の一番の聽きどころは、やはり John Paul Jones である。 前半(レコードなら A 面)のハイライトは The Lemon Song だらう。

どの瞬間もかっこよすぎるため、獨り家で顔を抑えながら、 「ああああああああ、かっこいいいいいいいい、死ぬうううううううううう」 などと他人には見せられないやうな有り樣で身悶えした擧句に語彙力も死滅してゐた。

え、Whole Lotta Love?  あれはベースラインもそれほど面白くないし、 いくら Steve Marriott に憧れてゐたとはいへ、丸パクリしちゃうやうなのはちょっと…。

後半は 沒にならなかったのが不思議なぐらゐつまらない Livin' Lovin' Maid と 實質的にドラムソロである Moby Dick を除いた 3 曲には どれも驚かされる。

輕く聽くだけだと普通のベースなのだが、曲が進んでいくに連れ、 だんだんとその本領を發揮してくるのだ。 油斷してゐるといつの間にかえらいことになってた…といふ John Paul Jones の妙技が樂しめて、實に痛快である。 Ramble On なんかは、 新リマスター deluxe edition に收録されてゐる rough mix を聽くとわかるが、 本テイクはベースがどんどん盛り上がる直前でフェードアウトされてしまってゐる。殘念。

それにしても、新リマスター版は聽いてゐて本當に樂しい。 音像がくっきりしてゐるので、いろんな音に耳を傾けることができるし、 ヘッドフォンで聽いたときの臨場感は格別で、 John Bonham のドラムなど、目の前で膜が震へる樣が見えるやうですらある。 上に採りあげた Ramble On に至っては、 音がよすぎて終盤の激しいパンで醉ひさうになったほどだ。 そんな體驗は初めてである。

1998 年に blue note が The Rudy Van Gelder edition といふ リマスターシリーズを出し始めたときも 旧リマスターとの餘りの音の違ひに 「マスタリングが違ふだけでこんなにも變はるものか!」と驚いたものだったが、 今回の Led Zeppelin のリマスターもそれに匹敵するほどよい( まあ、Led Zeppelin の場合は前囘のリマスターも Jimmy Page 本人が手がけてはゐるのだが、 それだけ 20 年といふ歳月での技術の進歩が目覺ましいといふことだらうか)。 YouTube の動画ばかり貼っておいてこんなことを云ふのもなんだが、 是非 CD なりレコードなりを買って自分の耳で確かめてもらひたいと思ふ。

次こそはロックでないものを採りあげたいと思ってはゐるが、 1 週間も更新が滯ったのも、とあるロックアルバムについて書かうとしてゐたためなので、 それが順調に書き上がってしまった場合、次囘もロックといふことになってしまふ。 まあ、難航してゐるのでさうはならないと思ふが。

では、また。