When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

bandcamp daily: January ~ February, 2021

せっかくマメに bandcamp daily をチェックしてゐるので、 氣に入ったやつをちょいちょい紹介していくことにする。 今囘は 2 月分までのまとめ。

まづは 1 月 5 日の The Real Swinging London: The Legacy of Brit Jazz から Chris McGregor's Brotherhood of Breath の Eclipse at Dawn

いや、まあ、このアルバムは別に bandcamp daily で知ったわけではないんですけど、Chris McGregor's Brotherhood of Breath 大好きなんですよね。 Chris McGregor's Brotherhood of Breath の何がいいって、日本の East Asia Orchestra とか渋さ知らズみたいなお祭り感あふれるフリージャズだってところ。 かういふ、大勢で明るいフリージャズやってるバンドって聽いてるだけでウキウキしてくる。 フリージャズなのにえげつなさをあんまり感じさせないところもいい。 かういふのからジャズに入るってのもいいんぢゃないですかね。

1 月 13 日に紹介されたのは Gerry Weil の The Message

Gerry Weil はオーストリア出身、ベネズエラ在住のジャズ鍵盤奏者。 このアルバムは 1971 年にリリースされたものの再發版で、 なんでも Miles Davis の Bitches Brew に觸發されたものらしいが、 Bitches Brew のやうなドロドロファンクではなく、 カラッと明るいラテン・ジャズ。 オルガンとエレキギターの音がいい。

同じく 1 月 13 日の記事、Meet The Labels Changing the Sound of Electronic Music in Thailand で紹介されてゐた Mogambo のデビュー EP、Cobra कोबरा もよかった。

特に新しさがあるわけではないが、サイケなアンビエント・テクノっていいよね、と再確認。 タイならでは、みたいな要素はほぼ感じられないが、まあ、Nyege Nyege なんかが特殊なだけでせうな。 Nyege Nyege みたいなレーベル、もっとたくさん出てきてほしい。

1 月 27 日の The Best Experimental Music on Bandcamp: January 2021 では Roland Kayn のアルバムが 2 枚紹介されてゐた。遺作の Matego はなんと無料!  Roland Kayn の bandcamp はかなりハイペースでリリースがあるし、 マスタリングはほぼ Jim O'Rourke だし、電子音樂好きは要チェックですよ。

1 月 29 日付の Warped Tape Noise, Hummed Pop Hits, Homespun Jazz-Pop, and More からは 既に Ben Varian の One Hundred Breakfasts with the Book を紹介した。

2 月 5 日はなんと Loren Connors 特集!!!

幽玄といふ言葉がぴったりな、唯一無二のギタースタイルを確立してゐる Loren Connors のアルバムはどれもこれもが名作だが、 Loren Connors を聽いたことがない、といふ人には Kath Bloom とのアルバムがおすすめ(歌入りなので)。 殘念ながら bandcamp にはないので、 Suzanne Langille とやってる Hell's Kitchen Park でお茶を濁しておきます。 ヴォーカルなしでもオッケーな人には、The Departing of a Dream Vol. III: Juliet あたりがいいかな。

2 月 11 日には The Heliocentrics 特集が組まれてゐる。 まあ、The Heliocentrics については先日書きましたんで、追加で書くことは特にないっす。

2 月 12 日の album of the daySun Kin の After the House

アルバムのタイトル通り、「ハウス以降」を感じさせるのがグッド(さういふ意味でつけたのかどうかは知らないが)。 單にハウスにヴォーカルを載せただけでなく、輕やかかつ淡い音を使ふことで良質なポップスに昇華してゐるのが見事。 2 曲目とか、ジャズっぽいピアノも入っててすんごいお洒落。現代ポップスだなあ。

2 月 16 日の album of the day で紹介されてゐるのは、 Kìzis の Tidibàbide / Turn。 36 曲入りの大作である。

いろいろなジャンルの音樂が入ってゐて、一口にかういふアルバムと説明することはできないが、 全體を通してヴォーカルワークに非常に工夫が凝らされてゐる。 ソウルっぽいもの、アフリカっぽいもの、ヒップホップっぽいもの、普通のポップス、チープなシンセもの、 コラージュもの、ニューウェーヴなどなど、 1 つのアルバムにまとめるには無茶なジャンルの音樂が入ってゐるのに、 ヴォーカルワークだけでまとまりを與へてゐるのがすごい。

2 月 25 日は bandcamp daily 2 囘目 となる Sun Ra 特集。 前囘は 2017 年だったらしいが、そのときから bandcamp で買へる Sun Ra のタイトルは 50 枚以上増えたんだとか。 まあね、Sun Ra のアルバムって山ほどあるからね。

Sun Ra を聽いたことがないなら、まづは Space is the Place(サントラ版) がおすすめ。代表曲てんこ盛りだし、いろんな Sun Ra があるけど、基本はこんなのだってのがよく傳はるアルバムなので。

同じ 2 月 25 日の album of the dayJ Jazz Volume 3: Deep Modern Jazz from Japan のレヴュー。

恥づかしながら、BBE からこんなコンピが出てるなんて知らなかった。 BBE が出すアルバムは、いまいちおれの嗜好から外れてゐて、 Mingus の Jazz in Detroit ぐらゐしか買った記憶がないから、 ちゃんとチェックしたことがなかったのだ(言ひ譯)。 相澤徹の Tachibana まで出てるぢゃないですか。

日本のジャズはフリージャズばかり聽いてゐて、かういふスタンダードなジャズはスルーしてゐたのだが、 不勉強を恥ぢ入るばかり。どれもこれもめーちゃめちゃかっこいいぢゃあないですか。

もちろん、1 バンド 1 曲だから、最高の曲ばかりがずらずら竝ぶのは不思議なことでないのだが、 それにしたって傑作揃ひ。 日本がジャズ大國であることを痛感した。 データで買ふならなんとたった 8 ポンド。安すぎる。 まあ、レコードは 30 ポンドしますけど…。

ほんとは 4 月分までまとめて書かうと思ってゐたのだが、分量が多くなりすぎたので今囘はここでお仕舞ひ。 3, 4 月分は、また近日中に公開できるでせう。たぶん。