When the Music's Over

音樂の話とゲームの話

Abzû

かなり前から目をつけてゐたものの、 2 時間程度で終はってしまふといふことだったので 手を出さずにゐたゲーム Abzû がセールで安くなってゐたので買った。

Risk of Rain 2 は週末に友だちとやり過ぎた所爲もあって ちょっとやる氣になれなかったので (既にプレイ時間が 30 時間に達した)、 こっちをパパっと終はらせてしまはうと インストールし、プレイしてみた。

うーん…。

steam のレヴューの多くは、このゲームを「氛圍氣ゲー」であると評してゐる。 が、おれはその氛圍氣とやらに沒入できなかった。 理由はいろいろある。

いきなり沒入を阻害してくるのは、その獨特の操作感だ。 3D だったのでキーボード + マウスでプレイしたのだが、 なんで W で下に潜り、S で浮上する設定になってゐるのか。 もちろん、これは設定で變へることができるのだが、 デフォルト設定が「normal」ではなく「inverted」になってゐる。 つまり、普通とは逆だ、とわかってゐるはうがデフォなのだ。 なんでそんなことすんの?  お蔭で操作に慣れるまで時間がかかって沒入できなかったんですけど?  加速がちょっとしか持続せず、 途切れるたびに加速し直さなくてはならないのも極めて面倒だった。

音樂をオフにできないのも難點。 クラシック風の、なかなか惡くない音樂なのだが (終盤はコーラスまで入って無駄に豪華)、 とにかくうるさい。 しかも、ゲーム内で音量を變更することはできない。 仕方なくウィンドウを切り替へ、 Windows で音量調整をしなくてはならないといふ不便さ。

一本道なストーリーがあったのも殘念だった。 ゲームと銘打つ以上、ストーリーが必要なのはまあわかる。 でも、常に進む方向があからさまに提示され (ちょっとした區切りごとにこっち行け、とばかりにトンネルが現れる)、 探索要素がほぼないのはいがかなものか。

おれが氛圍氣ゲーをやるのは別にこれが初めてではない。 例へば、Dear Esther はストーリーのある氛圍氣ゲーだったが、 荒廢した島のどこへ行くにも制限はなかった。 特定のポイントを訪れないと話が進まないだけで、 狭い島だからオープンワールドといふほどのものではないが、 最初からどこへでも行ける。

大好きな Proteus といふゲームに至っては、そもそもストーリーが存在しない。 これも島が舞臺だが、できるのはひたすら歩き廻ることだけ。 島に生息してゐる生物に近づくと、變な音がぽよんぽよん鳴るのと、 時間經過で明るさが變はること、 あるトリガーを引くと別の島に移動することぐらゐしかゲームの構成要素はない。 目的もなんにもない。 でも、これが妙に樂しいのである。

しかし、Abzû は豫め用意された順路を、 ほぼ寄り道することもなく、進んでいくだけだ。 もちろん、先に進まずに留まり、魚と戲れることはできる。 魚の背中に摑まることもできる。 が、開發が想定した通りの進め方を強制されてゐるといふ感覺がずっと付きまとってゐた。

最も不快だったのは、途中に現れる、機雷のやうな物體だ。 正四面体がなぜか海中を漂ってゐて (浮きも沈みもしない。どういふ材質でできてゐるのか)、 近づいてしばらくすると感電するのだ。 そして、感電して少しの間は操作不能になってしまふ。 ゲーム終盤でそれらは破壊できるやうになるのだが、 その部分も含めて、全く不要だったとしか思へない。 海の中を泳ぐのがメインのゲームで、 泳がない瞬間を作ることにどんな意味があるといふのだ。 ネタバレになってしまふが、仲良くなった鮫を感電で殺す必要ありました?  最後に生き返ったんだか靈體になって戻ったんだか知らないが合流するなら最初から生かしたまんまでいいぢゃん。 アホかよ。 ほんと白けた。

結局最後までやったが、 「どうだいこのゲーム、すごくいい氛圍氣だろ! たっぷり味はってくれよな!」 といふ、開發者側の押しつけがましさを終始感じるゲームだった。 音樂をオフにできないのは、 さういった開發者側の思惑を顕著に表してゐると思ふ。 音樂もちゃんと聽いてくれよな!といふわけだ。 さういふのはゲームぢゃなく映畫でやってくれ、と云ひたい。 ゲームなんだからプレイヤーから選択肢を奪ふデザインはやめろよな。

1 囘のプレイで實績を全て解除できなかったので、 全実績を解除するまではやるつもりだが、 正直、二度とやりたくない (が、さっさとアンインストールしたいのでやる)。 とれてゐない實績は探索に關はるものばかりなのだが、 探索があまり魅力的ではないから、やる氣にならないのである。

steam のレヴューは「壓倒的に好評」だが、 まあこんなふうに感じる人間もゐるのだ、 といふのは書いておく價値がなくもないかなと思ひ書いた。 誰かの參考になれば幸ひである。

全く關係ないんだけど、この前の Risk of Rain 2 の記事、 普段とは比べ物にならないレベルでアクセスがあってびっくりしてしまった。 大して内容のない記事だったからなんだか申し譯ない。 早々に日本語 Wiki もできたやうでめでたい。 だいぶやったので、明日にでも現時點での 1 との違ひについてまとめようかな、と思ってをります。